Fairy Tale.

Fairy Tale.
彼女に近づいたのは、あの人に近づくためだった。
彼女に興味なんて全くないけど、あの人が彼女を好きだって言ったから。
そして彼女もあの人を好きなのだろうと思ったから。
二人の間に流れる空気をぶち壊してやりたくて。
あの人のことをもっと知りたくて。
だから彼女に声を掛けた。

結果、僕はこうして今も彼女といる。
彼女に近づいたところで僕とあの人の距離が縮まるわけではなかったのだと、今更ながら気付いた。
全く興味をもてない彼女に笑いかけるのは心底疲れる行為で、どうにかしてやめてしまいたい。
けれど、僕にはその術がわからない。
確かにあの人について新たに知ったことは多くあったけれど、それは彼女によってもたらされたものではなく。
そして知りたくもない、彼女についての知識ばかりが増えていく。
この悪循環はどうすれば断ち切れるのだろう。

まったくもって、嫌になる。